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4月のお祭「鎮花祭」 桜が散るタイミングで疫病退散を祈る! 

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佐久間

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トップ画像:iStock

多くの地域で桜の見ごろが過ぎる4月には、奈良県をはじめ各地の神社で「鎮花祭」(読み方:ちんかさい、はなしずめのまつり)が営まれます。鎮花祭は、桜が散る時期に疫病退散を祈るお祭です。入学や入社など新たなスタートで体調を崩す人もいる今、お祭の目的を知り、疫病退散と無病息災に心を向けていきましょう!

鎮花祭の目的は、疫病神を鎮めること

桜
画像:photoAC

神社が毎年4月(旧暦3月)に鎮花祭を営むのは、桜の花が散るタイミングで活動し始める疫病神を鎮めるため。「疫病神は散っていく花びらとともに病気を広める」という、古代日本人の考え方に基づいています。

鎮花祭では、神職が神さまに神饌(捧げもの)をお供えし、疫病退散の祈りをこめた言葉、祝詞を読み上げます。祝詞の後、巫女の舞を奉納する神社もあります。

鎮花祭の起源は、崇神天皇の御代にあるとされる

桜
画像:Pixabay

鎮花祭の起源は、第10代・崇神天皇の御代にさかのぼります。当時疫病が流行した際、人々は大物主大神(おおものぬしのおおかみ)という神さまを祭り、鎮花祭を営みました。

大物主大神のお名前の意味は、「大いなるもの(精霊など)の主」。人々に災いをもたらす精霊を鎮める力を持つとされ、今日にいたるまで厄除けの神さまとして厚く信仰されています。

鎮花祭に言及した文献に、平安時代の『令義解(りょうのぎげ)』(天長10年、西暦833年成立)があります。同書には、疫病神を鎮めるべく、大神神社・狭井神社で鎮花祭を営む旨が記されました。

鎮花祭で知られるお宮のひとつ、大神神社

スイカズラ
画像:photoAC

鎮花祭を営む神社の一例として、奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)が挙げられます。ご祭神は大物主大神です。

同神社が毎年4月18日に営む鎮花祭は、「薬まつり」とも呼ばれます。薬草のスイカズラ、ユリの根を神饌として神さまに捧げるのがその理由です。また、地元の奈良県をはじめ、全国から参列する医療・製薬関係者らが医薬品を奉納します。

※写真はスイカズラ

大神神社に付属する狭井神社でも

「花鎮社(けちんしゃ、はなしずめのやしろ)」という別名を持つ狭井神社(さいじんじゃ)でも、4月18日に鎮花祭があります。同神社は、大神神社に付属するお社です。

狭井神社が祭るのは、大物主大神の荒魂(あらみたま、※荒ぶる魂の意)。その力強いパワーから、病気平癒の神さまとして人々の信仰を集めてきました。

同神社に続く参道は、「くすり道」と呼ばれます。道のわきには、薬業に従事する人たちが奉納した薬草と薬木が植わっています。

各地の神社が鎮花祭を斎行

巫女

京都府の玄武神社や今宮神社は、「やすらい祭」という名称で鎮花祭を営んできました。斎行日は両神社とも、4月の第2日曜日。大きな赤い「花傘」を中心とした行列が地域を練り歩きながら、疫病を鎮めていくお祭です。花傘の下に入ると、疫病が追い払えるといわれています。

さいたま市大宮区の氷川神社も、鎮花祭がある神社のひとつです。同神社では毎年4月5から7日までの鎮花祭の期間中、童女たちが「花しづめの舞」を奉納します。

鎮花祭は理に適ったお祭!

桜
画像:筆者撮影

4月は気温上昇で食べ物が傷みやすくなるうえ、例年17日ごろから季節の変わり目「土用」に入るため、体調管理に注意したい月です。鎮花祭がこの時期にあるのは、理に適っているといえるでしょう。

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本記事を読んでいただき、ありがとうございました!

疫病と聞くと、「こわい」「嫌だ」と思ってしまいがち。それでも、「病気ではなく健康に意識を向けてみよう」「疫病もまた、わたしたちと同じ自然の一部」と捉え直すこともできます。本記事があなたの穏やかな気持ちを呼び起こすきっかけになれば、とても嬉しいです。

鎮花祭のころの葉桜も、命の瑞々しさをわたしたちに感じさせてくれますね。桜と季節のうつろいに思いを寄せる次の記事も、あわせてご覧ください。

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