具体的な活動内容について教えてください。
日本ウミガメ協議会は、日本各地でウミガメに携わる個人や団体のネットワークとして、ウミガメの調査や研究、保全活動を行っています。
主な活動は、産卵地での産卵回数や卵の発生環境の調査、海岸などへ漂着するウミガメの種類や個体数の記録、漁網等への混獲実態調査、人工衛星を用いた回遊経路の追跡、標識装着調査などを行っています。
また、このネットワークを通じて得た情報や、一般の方からの情報提供のとりまとめを行い、年に一度『日本ウミガメ会議』を開催し、その年の上陸産卵回数や、漂着情報、混獲情報の報告・共有をしています。
これまでに調査をされてきた多くの方々との協働によって、ようやく日本のウミガメの生態や彼らが置かれている状況が明らかになってきました。
活動を始めたキッカケはなんですか。
日本の海岸線は、北太平洋で最も重要なウミガメ類の繁殖場の一つであり、各地の産卵場では、様々な個人や団体によってウミガメの研究や保護活動が行われていました。
しかし、それらの活動はすべて各々独自で進められ、方法や基準が統一されていませんでした。
日本ウミガメ協議会は、これまで各地域レベルで考えられていた保護や研究を、日本全体に視野を広げて考えていくために、各地のウミガメ関係者のネットワークを作り、情報交換を円滑に行う媒体となることを目的に設立しました。
これからの団体の目標・目指す部分を教えてください。
ウミガメは日本の海に暮らし、日本の砂浜に産卵する、日本人にはなじみ深い動物です。
我々が思い描くのは、もともと長い間存在していたであろう、人とウミガメの多様な関係です。
ウミガメを食べる人、ウミガメに救われた祖先の遺言を忠実に守りウミガメを食べない人、タイマイの鱗板から眼鏡の縁を作る職人、死んだウミガメを哀れみ埋葬する漁師、ウミガメを囲みいじめる子どもたち、それを制してウミガメを助ける若い漁師。
このような多様な価値観を許容する豊かな自然を取り戻すことが、本来の進むべき方向であると考えています。
また、野生動物の保護活動がめざすところは、対象種をレッドリストから外すことにあります。
私たちは、ウミガメのいまだ解明されていない謎を解き明かすためのデータを蓄積していくとともに、これまで積み重ねられてきた貴重なデータを基に、効果的なウミガメの保全策を考え、この動物たちとその生息環境を見守り、いつまでも存続できるように、これからも活動を行っていきたいと思います。
支援金の使用用途などを教えてください。
ウミガメはまだまだ謎の多い生き物です。その謎を解き明かすための一つとして、日本各地でウミガメに標識を付け放流調査を行っています。
みなさまからいただいたご寄付は、その標識を全国の調査者の方に配布するために活用させていただきます。