具体的な活動内容について教えてください。
災害時に倒壊した家屋や土砂などの下敷きになった行方不明者を捜す「災害救助犬」や、被災者や障がいのある方、高齢者や闘病中の子どもたちなどを対象に、身体的・心理的・社会的効果をもたらすことで、様々なストレスや不安を軽減する「セラピードッグ」の育成と派遣を行うとともに、虐待や飼育放棄など人間の身勝手な理由で捨てられた犬たちを救い、新しい家族を探す「動物福祉」の活動を行っています。
また、2022年2月、佐賀県大町町に「人・動物・社会をつなぐ日本最大級の共生拠点」が完成しました。
佐賀県で災害救助犬を育成し、その後セラピードッグの育成も視野に入れながら、九州圏内で起こる災害に迅速に派遣・対応できる体制づくりを目指します。
(写真上から/災害救助犬事業・セラピードッグ事業・動物福祉事業・佐賀県支部)
活動を始めたキッカケはなんですか。
1995年1月17日、阪神淡路大震災によって多くの命が失われました。
海外から災害救助犬を含む救助隊も駆け付けましたが、当時、災害救助犬に対する認知度は極めて低く有効に活用されませんでした。
もしこのような犬たちを有効に使えていたら、助けられた命があったかもしれません。
この教訓から災害救助犬での人命捜索に特化した組織構築が重要だと考え、1995年9月、日本レスキュー協会は発足しました。
同年12月、あるクリスマス会へ参加した時の事、震災で親を亡くし心を塞いだ子ども達の前に救助犬が登場しました。その途端に子ども達の表情が一変し笑顔が溢れました。
この経験がセラピードッグの重要性も示してくれました。
災害救助犬やセラピードッグを育成する傍らで、虐待や飼育放棄など人間の身勝手な理由で捨てられ殺処分される犬たちを救う事は私たちの使命だと感じ、彼らの新しい家族を探す動物福祉の取り組みが始まりました。
これからの団体の目標・目指す部分を教えてください。
【組織全体】
人と犬が共に豊かに生きられる社会を目指すとともに、災害救助犬、セラピードッグ、動物福祉の3事業を柱に活動を実施し、災害時には3事業が連携して被災地の支援活動にあたり、災害救助から復興までの災害支援を行います。
【災害救助犬事業】
災害救助犬の活動が標準化され、公的救助隊と協働することで、救える命が増えることを目指します。公的機関(消防、自衛隊、警察など)と災害救助犬の連携方法が確立され、全国の都道府県市町村、地方自治体に認知されることによって、災害現場での災害救助犬の導入がスムーズになります。
救助活動を行う側と救助を必要とされる側の双方で、災害救助犬が広く認知されることを目指します。
【セラピードッグ事業】
日本ではまだまだ認知度の低い「アニマルセラピー」の制度が法的に整備され、セラピードッグとの交流を必要とされる人の元へスムーズに訪問出来る社会・環境を目指します。
セラピードッグの存在や効果が広く認知され、盲導犬や介助犬、聴導犬のように補助犬の認定を受ける事ができれば、活動の場も広がります。
それにより人々のQOL(生活の質)の向上に、セラピードックが貢献する社会が実現すると考えます。
【動物福祉事業】
虐待や飼育放棄など、人間の身勝手な理由で不幸になる犬を1頭でも多く救済するとともに、「アニマルウェルフェア(動物福祉の向上)」を推進し、殺処分される犬や猫を生まない社会を目指します。
そのためには、動物愛護や管理に関する法律の整備や、適性飼育について飼い主が正しく理解する事が必要と考えます。
また、災害時に「ペットとの同行・同伴避難」が当たり前になる社会を目指し、大切な家族であるペットを守るための日頃のトレーニングや備えについて啓発活動を行います。
【佐賀県支部】
九州圏内で起こる災害に迅速に派遣・対応できる体制づくりのほか、行政や災害支援団体と協働し、「ペットとの同行・同伴避難」を含めた多角的な支援活動が可能な拠点として稼働することを目指します。
また、平時はドッグランやしつけ教室の開催など、地域の皆さまのコミュニティスペースとして活用し、地域に根付いた団体として活動します。
支援金の使用用途などを教えてください。
・災害救助犬・セラピードッグの育成・派遣費
・災害救助犬、セラピードッグ、保護した犬たちの医療費、訓練備品、消耗品費
・協会の普及活動事業費など