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コーギーの断尾問題:しっぽを切る3つの理由と世界の規制動向

2025.5.10

目次

皆さんは、「コーギー」というと、どんな印象をお持ちでしょうか。「賢い」「足が短くてかわいい」という印象を持たれている方が多いかと思います。

また、「しっぽがない」という印象を持った方もいたのではないでしょうか。しかし、コーギーは生まれたときからしっぽが無いわけではなく、子犬の頃に人によってしっぽを切られていると聞くと、驚くのではないでしょうか。

本記事では、「コーギーはなぜしっぽを切られてしまうのか」という点を、詳しく紹介します。ぜひ最後までお読みになってください。

コーギーとはどんな犬種

画像引用元:写真AC

コーギーという犬種には、「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」と「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」の2種類がいます。

このうち、日本で良く飼われており、街中で見る機会が多い種類は、「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」の方です。

犬の「血統証明書」の発行や、ドッグショー・各種競技会の開催を事業としている、「一般社団法人ジャパンケネルクラブ」の調査によると、2024年1月~12月までの1年間に新規に血統登録され、血統証明書が発行された頭数は、以下のとおりです。

  • ウェルシュ・コーギー・ペンブローク:4,292頭
  • ウェルシュ・コーギー・カーディガン:51頭

このように、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの方が圧倒的に多くなっています。そのため、通常「コーギー」と言われている犬種は、「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」を指します。

コーギーの特徴

画像引用元:写真AC

コーギーは、イギリス原産の犬種であり、もともとは牧羊犬として人間の仕事を助けていました。イギリス王室に長年愛されている犬種でもあり、「王室の犬」と呼ばれることもあります。

コーギーの習性は、外向的・友好的であるため、神経質であったり攻撃的な性格の個体は少ないと言われています。サイズは、体高25~30センチメートル・体重9~12キログラムが標準とされており、いわゆる「中型犬」に分類されています。

コーギーのしっぽが切られる3つの理由

画像引用元:写真AC

コーギーのしっぽが、子犬のころに人の手によって切られてしまう(いわゆる断尾)理由としては、以下の3点があると言われています。

  • 牧羊犬として働きやすくするため
  • 節税対策
  • 犬種標準に定められているため

それぞれの理由について、詳しくみていきましょう。

牧羊犬として働きやすくするため

先ほども解説したように、コーギーは元々牧羊犬として飼われていました。具体的には、牛や羊の群れを人間の指示によって誘導する役割を担っていました。

牛や羊の群れを誘導するために、コーギーは牛や羊のかかとに嚙みつくことによって、コントロールをしていました。そのため、しっぽが長いと牛や羊に踏まれたり、かまれたりする危険性がありました。

その結果、思わぬケガをしてしまったり感染症のリスクがあり、誘導のコントロールが上手く行かないという懸念があったため、コーギーはしっぽを切られていたというわけです。

節税対策

犬のしっぽを切ることで、なぜ節税対策になるのか不思議に思われている方も多いかと思います。かってイギリスでは、愛玩犬(しっぽのある犬)に対して課税するという法律がありました。そのため、愛玩犬と扱われないようにしっぽを切ってしまい、課税を免れていたためとも言われています。

犬種標準に定められていたため

犬の血統を管理している各国の団体(日本の場合は、ジャパンケネルクラブ)では、それぞれ犬種ごとに理想の体高・体重・毛の色などの「犬種標準」を定めています。

「犬種標準」は、ドッグショーにおける犬の評価基準となるものです。コーギーの場合、ジャパンケネルクラブでは、「しっぽがない、またはしっぽの長さが5.1センチメートルまで」と規定しています。そのため、コーギーがしっぽを切られてしまう理由の一つとなっています。

コーギーの断尾についての最近の動き

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現在では、コーギーを牧羊犬として飼われることも少なくなり、愛玩犬として飼うことが多くなっています。そのため、必ずしも断尾をする必要はありません。

また、断尾をするにあたっては、相応の痛みが生まれるため、動物愛護の観点から断尾をやめるという動きが、ヨーロッパ各国では活発になっています。そのため、ヨーロッパでは従来のしっぽがないコーギーの数は激減していると言われています。

日本では、まだコーギーの犬種標準に「しっぽがない、またはしっぽの長さが5.1センチメートルまで」と定められているため、しっぽの無い個体が多いのが実情です。しかし、断尾をしないというブリーダーも増えつつあるため、近年では「しっぽのある」コーギーを見かけることも多くなっています。

そのため、日本国内でもヨーロッパのように、「しっぽのある」コーギーがこれから増えてくるかもしれません。

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