馬酔木はじつは危険な花?その読み方と名前の由来を解説!
2024.3.5
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春といえば、桜をはじめ多くの花々が一斉に咲き誇ります。そのなかでも見逃せないのが、ピンク色や白色の小さな花で人々を魅了する馬酔木。約1200年以上前から和歌に詠まれるほど、古くから日本で愛されてきました。
しかし、その可愛い見た目に反してちょっぴり危険な植物でもあり、その特徴は名前の由来にもなっています。今回は馬酔木の読み方とその由来、そして鑑賞におすすめな時期をお伝えします。
馬酔木とは?
一般的には3mほどの高さの常緑植物で、鈴の形をした小さな花々を咲かせます。その花は1cmにも満たないほどの大きさ。散ったあとにその花が苔地や砂地にのこる様子も、また注目ポイントです。
昔から日本に自生していたといわれていますが、鑑賞用としても人気が高く、日本庭園や公園でもよく見かけます。枝をさして自宅のお庭で育てることも可能です。
馬酔木はなんと読む?
一般的な読み方は「あせび」です。万葉集の和歌では、「安志妣「安之婢」と書かれており、当時は「あしび」として呼ばれていました。その音が徐々に変化して、現在は「あせび」になったと言われています。
馬酔木の名前の由来
名前の由来に深く関係しているのは、その葉に含まれている毒です。
「あせび」や「あしび」は、足が痺れることを意味する「足癈(あししじ)」や、危険性があることを示す「悪し実(あしみ)」が徐々に変化していったといわれてます。
「馬酔木」の漢字は、ほんの少しでも葉を食べると、馬の足が酔っぱらったようにふらふらになることから使われるようになったあて字です。山々に自生している馬酔木が目立つのも、そこに住む動物たちが馬酔木の葉だけは避けて食べるからだといわれています。美しいだけではなく危険性も高い植物ですが、自然界らしい力強い生命力や知恵が伺えますね。
その特性を活かして、かつては虫よけとして畑に植えていたことも。そう考えると、馬酔木は鑑賞用としてだけではなく、日々の暮らしに欠かせないものとして人々に寄り添ってきたのかもしれません。
馬酔木の見ごろは春!
馬酔木は2月下旬から4月にかけて咲く春の花です。和歌でも季語としてよく使われ、募る恋ごころや切ない気持ちを重ねて詠われています。
満開の様子を楽しみたい人は3月から4月上旬がおすすめ。桜や梅、椿やつつじなど、春には欠かせない花たちと一緒に楽しむことができるのも、この時期です。しかし、4月末から5月にかけて散った小さな花々が庭園や公園の地を彩る様子も見逃せません。ひらひらと散る桜や、花ごとポトリと落ちる椿とはまた違った儚さを感じるでしょう。
散ったあとは、また初春まで花を見ることはできませんが、夏頃にはすでにつぼみをつけています。赤や黄色の、きゅっと閉じた小さなつぼみたちもまた可愛らしいので、季節折々のお顔を楽しんでくださいね。