猫にシャンプーは必要か?気になるポイントを専門家に聞いてみた
2024.6.24
目次
猫はとてもきれい好きな動物なので、普段飼い猫をシャンプーしてあげたいと思うことはあまりないかもしれません。
でも猫って、狭いところに入り込んだり、他の猫と喧嘩して泥だらけになって帰ってくること、ありますよね。
他にも、ただ家の中でまったり過ごしているだけなのに、なんとなく汚れが飼い猫の汚れが目立ってきたという場合も少なくありません。
そんな時は、猫をシャンプーしてきれいにしてあげたい!って思いますよね。
でも皆さんもよくご存じの通り、猫は水に濡れるのがとても苦手です。
「洗ってあげたいけど・・うちの猫、シャンプーすごく嫌がるんだよなぁ。そもそも猫ってシャンプーしていいの?もしいいならどうやって洗えばいいの?
猫にも自分にも負担のないシャンプーの方法があればぜひ知りたい!」
あなたも、猫のシャンプーについていろいろ知りたいことや不安な点があるかもしれません。
この記事では、猫にシャンプーは必要なのか、もしシャンプーをしてもいいなら、どんなふうに猫に負担なくシャンプーしてあげられるのか、専門的な知識をご紹介したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください!
そもそも猫にシャンプーは必要?
結論から言うと、猫にシャンプーは必要ではありません。
というのも、本来猫は自分で体をキレイにすることができる動物だからなんです。
どういうことでしょうか?
猫って、暇さえあれば自分の体を舐めてますよね。
どうしてそんなに舐めるかというと、あちこちかゆいからというわけではなく、自分の体中の毛を飲み込むためなんです。
この行為は、専門用語で「グルーミング」と言われています。
猫の舌はザラザラしていて、毛を絡め取るのにとても適した構造をしています。
このザラザラした舌で自分の体を舐め毛を排除することで、自分のニオイや汚れを取ることができます。
猫は、1日のなんと50%もの多くの時間を、グルーミングに当てていると言われています。
猫だけでなく、肉食動物ネコ科のライオンやトラにとって、グルーミングはとても大切な日課です。
サバンナにいるライオンが獲物をじっと狙っている場面を想像してみてください。
いくらそっとターゲット近づいても、自分のにおいがきつかったら獲物は気付いて逃げてしまいますよね。
つまり、どれだけ自分のにおいを消せるかは、狩りが成功するか、ひいては自分や家族が生きられるかどうかのポイントになってくるというわけです。
このように、猫にとって自分をキレイにすることは、本能に植え付けられたとても重要な行為ということがわかりますね。
猫にシャンプーが必要なときもある!
ここまでで、猫にシャンプーは必要ではない理由をお伝えしました。
でも、ライオンと違って猫は人間と一緒に暮らすようになったので、シャンプーが必要な時も生じてきました。
シャンプーが必要な時、それはズバリ猫が汚れてしまった時です。
猫が健康で元気な時は、なんとか洗ってあげられるかもしれません。
でも、普通に家の中でおとなしく暮らしているのに、気付けば猫の体が汚れてしまっている時ってありますよね。
何が原因なんでしょうか?
代表的なものをいくつかご紹介します。
高齢の猫
猫は10歳から高齢になると言われています。
人間の年齢に換算すると、猫の10歳は人間の60歳前後、猫の15歳は80歳前後です。
誰でも高齢になると、筋力が衰えていきますよね。
そうすると上手に体を動かすことが難しくなります。
猫も高齢になると筋力が衰え、自分の体を隅々までキレイに舐めることができなくなります。
そのため、顔が届かないお尻周りや足先がどうしても汚れてしまうのです。
本来きれい好きな猫にとって、自分の体が汚れたままの状態は、大きなストレスになります。
この場合は放っておかずにシャンプーしてあげる必要があるでしょう。
参照:Tokyo Metropolitan Government Bureau of Public Health
肥満の猫
猫の種類によって体重の基準は様々ですが、アメリカ動物協会(AAHA)によると、猫の体を触った時に背骨や肋骨の形がわからず、腰にくびれがない状態は極度の肥満であると定義しています。
猫は肥満になると、脂肪が邪魔をして体をうまく動かせなくなります。
体の隅々までキレイに舐めることができないと、顔の届かない下半身は背中などが汚れてしまいます。
肥満猫の場合も、時々シャンプーしてあげる必要があるでしょう。
参照American Animal Hospital Association
シャンプー中に猫を落ち着かせるには?
猫は水に濡れるのが嫌いなので、シャンプーを死に物狂いで嫌がることがあります。
猫には鋭い爪があります。
お風呂で暴れると人間も猫もケガをしてしまい、非常に危険です。
では、嫌がる猫をどうしてもシャンプーしないといけない場合、どうすれば猫に負担をかけずにできるでしょうか。
実は、ちょっとしたコツがあるんです。
まずは爪切りから
猫の爪はとても鋭く尖っています。
猫にそのつもりがなくても、必死で逃げようとするあまり、爪を立てて飼い主を傷つけてしまうことは十分あり得ます。
しかも猫の爪の中には、バルトネラ菌が存在しています。
もし深く傷が入ってしまうと、人畜共通病である「猫引っ掻き病」にかかってしまうことも珍しくありません。
猫引っ掻き病になると、高熱にうなされ、脇のリンパが大きく晴れて日常生活に戻るまで長い時間がかかってしまいます。
飼い主の身を守るためにも、まずは爪切りが大切です。
シャンプーの前に爪を切っておくなら、飼い主も猫も安全でしょう。
爪切りだけで興奮してしまう猫の場合は、シャンプーする前日に爪切りだけするようにしましょう。
参照:Bartonella infections in cats including zoonotic aspects
とにかく自分が落ち着く
猫をシャンプーしようと意気込んで、「さぁ!シャンプーするぞー!」、、あれ?猫がどっかに消えちゃった。
なんてことありますよね。
そう、猫は飼い主の心理や雰囲気を感じ取るのがとても上手です。
飼い主が緊張していれば猫も緊張しますし、リラックスしていれば猫もリラックスします。
猫を落ち着かせる最も簡単な方法の1つは、自分自身を落ち着かせることです。
急な動きや大きな音に猫は敏感です。
シャワーヘッドからいきなり猫を濡らすのではなく、桶にぬるま湯をはって、スポンジや手酌でゆっくり濡らしてあげるようにしましょう。
落ち着いてゆっくり撫でるように洗ってあげると、猫も落ち着くでしょう。
猫用シャンプーグッズを準備しておく
猫をシャンプーする前に、全ての道具を揃えておくようにしましょう。
シャンプーし始めてから足りない道具を取ろうとすると、猫はその隙に逃げてしまうかもしれせん。
必要な道具は、大きなバスタオル、猫用シャンプー、スポンジ、桶、ドライヤー、以上です。
他にもいろいろ揃えたくなるかもしれませんが、まずは必要最低限な道具だけで十分でしょう。
猫が脱走しないようにお風呂のドアをしっかり閉めたら、あとはゆっくりシャンプーするだけです。
シャンプーできません!大丈夫です
「いろいろ試してみたけど、やっぱりうちのこ、シャンプー大嫌いみたいです」
大丈夫です。そんな時もキレイにしてあげる方法はありますよ。
水なしシャンプーを使用する
きれいにしてあげたいけど、どうしてもシャンプーできない場合もあります。
シャンプーは私たちが思っている以上に、猫にストレスを与えます。
猫は興奮しすぎると心臓発作を起こしたり、人間不信になってしまうこともあります。
ですから、決して無理しないようにしましょう。
どうしてもキレイにしないといけない時は、水なしシャンプーを使うことができます。
おすすめは、強い香りでごまかすタイプのものより、アルカリ性の電解水を含むタイプを使うことです。
アルカリ性の電解水は、酸性の汗や角質を中和し、元から汚れを取ることができるからです。
お尻周りだけシャンプーして、顔は水なしシャンプーで。というように、猫に合わせて使い分けてもいいですね。
ブラッシングする
冒頭で、猫は本来シャンプーしなくてもいいとお伝えしました。
猫は自分で毛づくろいできる動物だからです。
いろいろな要素で猫が自分でグルーミングできないなら、飼い主が毛づくろいしてあげましょう。
柔らかいスリッカーブラシを使用して、毎日少しずつブラッシングしてあげると、抜け毛と共に汚れが落ちていきます。
皮膚への刺激にもなるので、代謝が促され毛艶も良くなるでしょう。
世界的権威のアメリカ猫獣医師協会(AAFP)は、猫がなるべく幼い時からブラッシングを始めることを推奨しています。
そして、「たまに長時間ブラッシングをするよりも、短時間のブラッシングを頻繁にするほうがいい」とも述べています。
汚れてどうしようもなくなってからシャンプーするより、毎日の積み重ねが大切なんですよね。
参照:AAFP”Routine Care/Grooming”
プロに任せる
いろいろやってみたけど、やっぱり猫のシャンプーはこわい。
そんな時はプロにお任せしてしまいましょう。
プロは猫の扱いに慣れているので、素早く作業を終わらせることができます。
猫を取り扱っているペットサロンは、意外と多くないので、事前に猫を扱っているか確認することをおすすめします。
まとめ
猫にシャンプーは必要不可欠ではありませんが、必要になる場合もあるということがわかりました。
猫にシャンプーをしないといけなくなる時は突然やってくるものです。
そんな時に慌ててしまわないように、事前に猫のシャンプーについての知識を持っておきましょう。
そうするなら、いざという時安心ですね。
猫がキレイになったらよく褒めて、暖かい場所でぐっすり休めるようにしてあげましょう。
上手にシャンプーできるようになったら、シャンプー好きの猫になるかもしれませんね。
きれい好きな猫にとって清潔な環境はを整えることはとても重要ですが、なにより飼い主との絆は欠かせません。
愛する猫とのコミュニケーションツールとして、シャンプーはいい方法だと言えるでしょう。