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カラカル

カラカルの鳴き声は「シャー」?サバンナの駿足ハンターの特徴や生態とは?

2024.2.18

目次

今回の記事は?

今回は、野生に生きるネコのカラカルの生態や特徴、生息地、狩り、鳴き声、生涯、性格、絶滅危惧種?についてのご紹介です。

カラカルの特徴や生態

カラカルは、食肉目ネコ科カラカル属に属する哺乳類のグループです。体長は60 – 90cm前後とイエネコと比べると大きめの体格をしています。ピンとして三角にとがった耳。身体は茶褐色で目の周りから鼻にかけて黒い線が特徴です。サバンナや開けた草原などを中心に生活しています。単独で活動することが多く、夜間や夕暮れ時に活発になります。最大で16平方キロメートルにおよぶ縄張りをもち、その範囲を常に移動しながら狩りを行っていきます。主な天敵はライオンやヒョウで、カラカル自身も反撃のための鋭い爪をもっています。寿命は野生下で10-12年程度と考えられています。標高が高い場所で確認されることもあります。

カラカルはどこにいるの?

カラカルは乾燥した環境に適応した身体能力を持っています。具体的には、アフリカ大陸の広大な土地で乾燥地帯の広がった地域に生息しています。また半砂漠地帯やサバンナといった植生のある地域でもその姿を見ることができます。完全な砂漠での生存は難しく多少の緑や水の存在は重要な環境条件です。生息可能な地域の共通点は開けた場所であることです。木々や岩場の多い森林地帯といった密度の高い環境ではあまりみられません。理由は、広大な視野を確保しながら狩りをするからです。

カラカル
画像引用元:Pixabay

カラカルの狩り

カラカルは肉食で狩りは、単独で行われます。圧倒的な瞬発力でがあり、ゆっくり、ゆっくりと獲物に近づく様は忍者や、足音を立てずに時には膠着をして獲物との距離を近づけていく手法を使います。膠着している時間は10分以上の時も全然あります。跳躍力が高く、時に3m程の高さからでも獲物を捉えられるほどの運動能力があります。

カラカルの食べ物は?

カラカルは基本的に小動物を中心に捕食する動物食性のネコ科ですが、ある程度の大きさの獲物を仕留める能力も持っています。食べ物は、ネズミ ・リス ・ウサギ ・ヤマアラシ ・シマリス ・鳥類 ・爬虫類などです。

こちらは少しずつ獲物に近づき狩りをするカラカルの狩りの動画です。

動画引用元:Lion Mountain TV

動画は、【Lion Mountain TV】 のYoutubeを掲載させていただきます。動画の5:50くらいまではゆっくりと近づいていくのがわかります。そして、その後一気に仕留める。これがカラカルの狩りなのです。小動物などが狙われるのですが、ある程度の距離まで詰められるともう逃げれませんね!さらにカラカルはとてもジャンプ力のある動物でもあります。ご紹介した動画では見られませんが、逃げようとする鳥類をジャンプで仕留める狩りをすることもあります。

カラカルの鳴き声は?

カラカルの鳴き声の特徴は「ラウウー、ラウウー」と表現され、数キロ先からでも聞こえてくるほど大きな声です。しかし、基本的に大人しいので、頻繁に鳴くことはありません。鳴き声は、縄張りを主張する意味もあると考えられています。

また、威嚇する時などは「シャー」という声で鳴くこともあります。Youtubeなどで「caracal」と検索すると、動画が出てきます。「シャー」という鳴き声で鳴いている姿を確認できる動画もあるので、参考にしてみてください!

カラカルの生涯は?

アフリカの大自然を生き抜くカラカル。子育てと教育の過程は容易ではありません。交尾期に入ると、オスはメスのフェロモンを頼りに縄張り内を捜索します。交尾が行われ、妊娠期間はたったの約2ヶ月です。ねぐらを掘り、1回の出産で約2頭を産みます。出生当初は、目も開いておらず全く無防備な状態のため、めったに巣を離れることはありません。生後10日-2週間程で開眼し、1ヶ月程度で立ち上がり歩行可能に。半年ほどで、自力での捕食が可能になり狩猟の訓練が始まります。はじめは後ろから見学する形で、徐々に実践への参加を促されていきます。最初は失敗することがほとんどで、1年以上かけて狩猟能力を身につけます。その困難な過程を乗り越えた先にこそ、アフリカの大地を生き抜く力が身についているのです。

カラカル
画像引用元:Adobe Stock
カラカルの寿命は?

野生下のカラカルの寿命は約10-12年程度とされています。 飼育下のものは野生下よりも長く、12-20年程度まで生存することができます。飼育下では食料や天敵といった生存の脅威が少なく、体力の消耗が野生下ほど大きくないことが大きな要因です。

カラカルの性格は?

カラカルはとても警戒心の強い性格をしています。基本的には単独行動、夜行性です。また、領域性が強く個体数が少ないことから出会えることが稀です。人を恐れずに接近することはあまりないので「幻のネコ」とも呼ばれています。繁殖期以外は基本的におとなしいです。生息しているサバンナにはカラカルよりも大きなネコ科のライオンや、代表的な肉食動物のハイエナなどがいます。獲物を取り合う環境にいるため、ライオンやハイエナからも獲物を奪い取ろうとする強気と凶暴な一面もあります。ネコだと言っても野生に生きる肉食動物。イエネコと見た目が似ているからとむやみやたらに近づくのはとても危険です。

カラカル
画像引用元:Adobe Stock

カラカルは絶滅危惧種なの?

カラカルは2014 年に絶滅危惧種の IUCN レッド リストの評価を受けました。生息地域の環境破壊や、捕獲などで個体数が減少しています。一部の地域個体群で個体数の減少が見られるなど、厳密には安定した状況とは言えません。 絶滅の心配はまだ低懸念とされていますが、今後も個体数の減少が進めば、「幻のネコ」は本当に「幻」になってしまうかもしれませんね。
出典::レッドリスト カラカル

レッドリスト(Red List)って何?

国際自然保護連合(IUCN)によって作成されている絶滅のおそれのある野生動植物の種のリストです。レッドリストでは、絶滅の危険度に応じて野生生物を9つのカテゴリーに分類しています。

・絶滅危惧IA類(CR)…ごく近い将来絶滅の危険性極めて高い
・絶滅危惧IB類(EN)…近い将来絶滅の危険性が高い
・危急種(VU)…高い絶滅の危険性
・準絶滅危惧(NT)…状況次第で絶滅危険性が高まる
・軽度懸念(LC)…軽度の懸念はあるが全体的には安定

この分類に基づき、個々の生物種を棲息地域ごとに調査、分析した結果をリスト化したものがレッドリストです。絶滅危機種を中心に生物多様性の保全状況を示す指標となっています。

まとめ

今回は「幻のネコ」カラカルのご紹介をいたしました。ネコに似ているカラカル。アフリカの大自然に適応した独特の生態と能力をもったネコ科動物のひとつです。さらなる保護と理解が必要かと思われます。弱肉強食の野生下で生きるネコだけに、駿足の狩りの技術など、厳しい環境を生きぬく技術が身についている。可愛い!と思って近寄っていかないように注意ですね!

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