リスは東洋美術で縁起が良い動物? ぶどうと組み合わせた図像の意味
2024.1.28
目次
ウイルス保有と聞くと怖い感じがしますが、リスは古来、東洋で縁起の良い動物とみなされてきました。美術品のモチーフとなり、ぶどうと一緒に表現されることがあります。そこで本記事では、リスとぶどうを組み合わせた図像の意味を紹介します。
リスとぶどうを組み合わせた図像は「豊かさ」の象徴
リスとぶどうはどちらも、中国をはじめとしたアジア諸国で「豊かさ」「子孫繁栄」「多幸」の象徴とみなされてきました。ぶどうの図像はもともと独立していましたが、16世紀中頃の中国美術でリスが加わるようになったとされます。
昔の人たちはリスを子だくさんの動物だと考え、豊かに繁栄するイメージを抱いたと考えられます。大きな実をいくつも房につけるぶどうもまた、多産であることと関連づけられたようです。
日本では「武道に律す」の語呂合わせで武家好みの図像に
日本では「ぶどう=武道」「リス=律す」の語呂合わせにより、武家が好む図像となりました。陶磁器や着物などに、リスとぶどうが見られます。
文化庁が運営するポータルサイト「文化遺産オンライン」で「葡萄栗鼠」(読み方:ぶどうりす)と検索したところ、14件の美術品がヒットしました(2024年1月28日時点)。
琉球美術にも、リスとぶどうがたくさん!
リスとぶどうの図像は、琉球王国の美術品にもよく採用されています。2019年に焼失してしまった首里城にも、リスとぶどうを象った彫刻がありました。
琉球といえば、漆器が有名です。漆の箱には、しばしば繊細な螺鈿(読み方:らでん、光沢のある貝を文様の形に切り取って木地や漆地にはめる技法)でリスとぶどうの図像が施されました。前述の「文化遺産オンライン」の検索結果には、琉球製の美術品も数点含まれます。
美術鑑賞で動物の新たな魅力に気づく
リスとぶどうの図像が豊かさを意味するように、絵画や工芸品に表された動植物には深いメッセージが込められています。美術鑑賞中にそうしたモチーフに出会ったとき、図像の意味を調べれば、動植物の新たな一面や魅力に気づけるでしょう。
本記事は美術方面からの動物紹介でしたが、「リスの具体的な生態も知りたい!」という方は下記記事も読んでみてください。