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自然や生命を尊重する、センスオブワンダーとは?

2023.12.17

目次

※本記事にはプロモーションが含まれています

今回は簡単な自己紹介も含めながら自分の大好きな自然や動物についてのお話をしていけたらと思います。

センスオブワンダーという本との出会い

私は田舎育ちなこともあり、幼いころから自然が大好きで近所の友人の遊ぶときは必ず外で遊んでいたことを覚えています。

友達と木々を集め近くの山に秘密基地を作ったり、雑草を使っておままごとをしたり、泥だんごを作ったり・・・。

祖父母の家へいけばイノシシやシカと出くわすのなんて当たり前。時には野ウサギを見ることなんてありました。

幼いころはただただ自然が好き、動物が好き、自然は綺麗だ、動物は可愛い、かっこいいというような単純な気持ちでした。

しかし、年を重ねるごとに自然の大切さや、生物多様性、生態系のバランスや仕組みについてもよく考えるようになりました。

特に地球温暖化に伴う異常な気候変動は誰も目をそむけられない、例えそむけたくともそむけることは出来ない毎日のようにニュースで話題になっているグローバルな問題です。

そして、気候変動を安定化させ温暖化を緩和させるためには生物多様性なくしては解決はできません。

そのようなこともあり、私の中で環境問題や生物多様性に興味が広がったわけですが、今回は最近出会った本の中でも一番印象に残った一冊を紹介したいと思っています。

それはレイチェルカーソン著の「センス・オブ・ワンダー」という一冊です。

「センスオブワンダー」ってどんな本?

レイチェルカーソンといえば 1962年に出版された「沈黙の春」でご存知かと思います。

沈黙の春ではDDTをはじめとする農薬などの化学物質が及ぼす影響、危険性を訴え、この一冊がきっかけで初めて国際的に環境問題に取り組むようになったともいわれている歴史的にも非常に重要な一冊です。  

そんな彼女が自身の姪の息子であるロジャーに向けて執筆したのがこの「センス・オブ・ワンダー」という本です。

もちろん自然の大切さについて書かれているのですが、これは自然の大切さをより優しく人々の心に訴えかけるような一冊となっています。

環境問題とかちょっと堅苦しいなと感じている方も、この一冊を読めばなんとなく自然や生命の大切さを感じ取ることができるのではないかと思います。

彼女のいう、センスオブワンダーとは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」という意味です。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になると彼女は訴えています。

この感性は子供が生まれ持っている感性で、その世界はいつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ち溢れています。しかし、残念なことに大人になるにつれて、人間はこの感性を失ってしまうと語っています。彼女が語るように、特に現代社会で生きる私たちは、大人になるつれより一層自然から遠ざかっている気がします。

手元にあるスマートフォンで簡単に時間を潰すこともできますし、外へでなくても家のなかで遊べる用途なんかも簡単に手に入る時代です。

今では1、2歳の子供でも画面をスワイプするようになった事実は驚きです。

それにVRなんかも開発され、おうちの中で異世界へ飛び込めるようなバーチャルな時代がきています。

子供たちは学校を卒業するとすぐに社会へ進出し、組織に所属し働き始めます。特に忙しい日本人は、なかなか自然と触れ合う機会なんてありません。

大人になるとさらに人工的なコンクリートの世界で自然からもみ消されていきます。

だからこそ、子供のうちに自然と触れ合い、センスオブワンダーという感性を磨くことが大切であるということです。

センスオブワンダーは私たちに何を与えるのか?

画像引用元:Pixabay

季節の変わり目になると、季節の訪れを私たちに知らせてくれるかのように渡り鳥が大空を羽ばたいていきます。

カーソンは渡り鳥について本中で以下のように語っています。

わたしは、彼らの長い旅路の孤独を思い、自分の意志ではどうにもならない大きな力に支配され導かれている鳥たちに、たまらないいとおしさを感じます。また、人間の知識ではいまだに説明できない方角や道すじを知る本能に対して、湧きあがる驚嘆の気持ちをおさえることができません。

文献:レイチェルカーソン著「センス・オブ・ワンダー」より引用。

この一文を読んだとき、私の中に色々な感情がこみ上げてきました。

この地球上には様々な生物が存在し、それぞれが一生懸命自分の命を全うして生きています。

そんなことは当たり前だし、考えなくたって分かります。

しかし、ふと改まって考えてみるとなんだか不思議な気持ちになってたまらないのです。

私の実家では猫を3匹飼っています。

いつも当たり前のように家で一緒に生活をしている猫たちですが、改めて彼らに向き合って観察してみると、とても不思議な感覚になってきました。

私たちは無意識に人間がペットとして彼らの生活をコントロールしている分、なぜか自分の方が立場が上であると考えてしまっている部分は多少あると思います。

しかし、ふと私たちは彼らと同じように呼吸をし、同じ空気を吸い、同じ景色を眺め、同じ地球で生きていると考えると、ただの猫としては見られないのです。

その瞬間、彼らが猫であるということを忘れ、同じ地球生物であるという考え方で彼らを見るようになりました。

そう考えると、私たちは地球上で存在する生物とみな対等な立場であることに改めて気づき、大小関わらずどんな生物にも尊敬の意を隠さずにはいられない気持ちになりました。

それからは、うちの猫がいままでと異なる存在として自分の目に映るようになったのです。

これは猫だけに問わず、地球上に生息する生物全て同じです。

目に見えない微生物だって、雑草だって、苔だって同じです。

全ての生き物がそれぞれの役割を果たしながらこの地球上で生活をしています。

てんとう虫
画像引用元:Pixabay

そんな風に、全ての生物に向き合ってみると私たち人間は地球のほんの一部にしかすぎないのです。そう考えると、カーソンも語っているように全生命にたまらないいいとおしさを感じてきませんか?

地球上どこにいても家の外へでれば、辺りは様々な生物で溢れています。

あなたは、彼らに何を感じますか?

カーソンは、本中で私にそのような感覚にさせてくれました。

きっとその感情がセンスオブワンダーであり、自然や生命の大切さに気付くきっかけになるのだと思います。

だからこそ、カーソンは幼いころからこの感性を磨くことが大切だと訴えているのです。

カーソンは「知ること」は「感じること」の半分も重要ではないと訴えています。

美しいものを美しいと感じること、そこから感じ取る愛情や慈悲、好奇心、全ての感情が私たちの人生をより色鮮やかにしていくのです。

”地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう。″

文献:レイチェルカーソン著「センス・オブ・ワンダー」より引用。

だからこそ、自然は私たちにとってかけがえのない存在なのです。

人間の文明も、自然なくして発展はしてはないはずです。

自然が作り出す気候や水、食物。人間は自然の恵みを受けながらここまで発展を遂げることができたのです。

発展を遂げるまでの代償は計り知れません。

人間は森林伐採を進め、野生動物の生息地を奪うだけでなく、遠い場所に住んでいる同じ人間もの生活や命さえも脅かしています。

現在はSDGsという言葉が世に知れるようにもなり、より多くの人々の意識に変化は生まれつつあります。

しかし、既に地球の生命は折り返し地点にきているのが現実です。

これからの時代は、人間中心の時代ではなく、地球上の全生命が共生し、人間がより謙虚に生きていくべき時代を迎えていると私は信じています。

だからこそ、この一冊を読んでなにかを感じ取ってほしいと思っています。

そして、地球に優しい生き方をしていくきっかけになってほしいというのが私の思いです。

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