コヨーテってどんな動物?生息地はどこ?コヨーテにまつわる北米神話とは!
2023.12.11
目次
私は今、星に関する神話や民俗を紹介した本を読んでいるのですが、ある興味深い記述に目が止まりました。
北米の先住民ナバホ族の神話によると、「コヨーテ」が夜空に輝く星々を配置したというのです。
「イヌ科の動物は好きだけど、そういえばコヨーテのことはあまり知らなかったかも…」
と思ったので、今回はコヨーテについて書くことにしました。
コヨーテってどんな動物?特徴や生息地
コヨーテ(学名:Canis Iatrans)は、北米~中米に生息するイヌ科イヌ属の動物です。
主にアラスカ州やカナダ、コスタリカやパナマなどの国がコヨーテの生息地になっています。
コヨーテという名称は、メキシコのアステカ族の言葉で「吠える犬」を意味します。
体長は70cm~100cmほどで、小型のオオカミのような見た目が特徴です。
ウサギやネズミのような小動物を主に食べるものの、鳥類や爬虫類、植物、人間が出したゴミなど何でも口にします。
英語の別名prairie wolf(草原のオオカミ)からもわかるように、コヨーテが好む場所は主として草原のように開けた土地。
しかし、食べられるものは何でも食べるため、環境への適応能力は高い傾向にあります。
近年は大都市周辺でも姿が見られるようになりました。
コヨーテとオオカミの違いとは?
上で述べたとおり、コヨーテとオオカミは見た目もそっくりですよね。
実際イヌ科の動物中、特にオオカミに近い種はコヨーテだとされます。
では、コヨーテとオオカミはどう違うのでしょうか。
比較対象となる種にもよりますが、北米のオオカミを基準とすると、コヨーテの体型は全体的に細身です。
顔立ちや鼻づらもオオカミと比べると尖っていて、キツネに似ているように見えます。
吠えるときの声はコヨーテの方が高く、耳障りに聞こえる人もいるそうです。
私も試しにコヨーテの遠吠えを撮影した映像をいくつか見てみましたが…たしかにかなりの賑やかさ。
まるで悲鳴かサイレンのようでした(笑)。
また、滅多に吠えないオオカミと異なり、コヨーテは頻繁に遠吠えをします。
「吠える犬」という名づけは、まさに的を射ているのですね。
コヨーテの神話。コヨーテが空の星々を配置した?!
ナバホ神話で語られるコヨーテと星々の物語は、以下のようなものです。
原初の時代に、最初の男性・最初の女性・コヨーテがいました。
三者はいくつかの世界を通り抜けた末に、5番目の世界にやってきて、そこ住み始めます。
その世界の空には太陽と月だけがありましたが、彼らはそのことに不満を抱き、輝く石を空に配置していくことにしました。
まずは男性が北極星を、その周囲に7つの星を配置します。
次いで、空の四隅にそれぞれ星を置いていきます。
そしてコヨーテは、赤く輝く石を3つ空に投げ上げると、残った雲母を散りばめていきました…。
北米先住民の世界観の中で存在感を放つコヨーテ
ナバホ族は、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ユタ州にまたがる居留地に住む北米先住民の一部族です。
居留地内にはモニュメントバレーやアンテロープキャニオンといった特異な景観が見られる場所があり、「部族公園」の指定を受けています。
ナバホ族独自の文化と言語の保護も熱心に行われているようです。
実は、コヨーテと関わりが深い部族はナバホ族だけではありません。
コヨーテは多くの北米先住民族にとって、トリックスター的存在となってきました。
トリックスターとは「ペテン師」「詐欺師」といった意味で、破壊と混乱ののち、再度新しい秩序を世界にもたらす文化英雄の役割を果たす者を指します。
昔の人たちがある動物をどのような存在として見てきたかに着目すれば、その動物の神秘的な性質や生態が見えてくるかもしれませんね。
【参考文献】
出雲晶子『星の文化史事典[増補新版]』白水社、2019年
菊水健史、近藤雄生、澤井聖一『オオカミと野生の犬』エクスナレッジ、2018年