ラクダのコブの仕組みは?暑さにも寒さにも強いラクダは汗をかかない!?
2025.7.26
目次
砂漠の過酷な環境でも平然としているラクダ。その秘密は「コブ」にあると言われています。
実はこのコブ、私たちの予想を裏切る驚きの役割を持っています。今回は、ラクダについてご紹介します。
汗をかかないラクダ
ラクダは気温49度の灼熱の砂漠でも、ほとんど汗をかきません。
私たち人間を含めた哺乳動物は、体温を一定に保つために、体内から熱の放出を調節しますが、この調節に欠かせないのが汗です。
気温の高い環境下や、運動をして体温が上がると、汗をかいて体を冷やします。
体の表面の水分が蒸発することで、体の熱エネルギーを奪い、自分の体温を上げすぎないようにコントロールしているのです。
では、ラクダはどうやって体温を調節しているのでしょうか。

ラクダの体温調節
ラクダの体温は通常36度前後ですが、外気温に合わせて34~40度に変化させることができます。
周りの環境に自身の体温を合わせることで、外気温と体温の差を減らし、体内の水分を逃さずに暑さに耐えることができるのです。
ほとんど汗をかかないので水分はかなり節約でき、何日も水を飲まなくても生きられるのは、こうした体のしくみがあるからです。
砂漠のような水を摂取しにくい環境で、極力水分が出ていくのを防ぐために、自身の体温を変化させる能力を身に付けるなんて、すごいですね。
もちろん尿の水分量も最小限にするため、その濃度は海水の2倍と高く、排出される量も1日で1リットル程とかなり少なめです。
体から出ていく水分量を抑えることで、砂漠に生きるのに特化した体になっています。
ラクダは一日の中で体温を6~7℃も変化させられる動物です!
汗をかかない代わりに、呼吸数も抑えており、水分の蒸発を最小限にしています。
暑さにも寒さにも強い!?
砂漠と聞くと「暑い」イメージがありますが、夜は0℃近くまで冷え込むこともあります。ラクダは分厚い被毛と皮下脂肪のおかげで、寒さからもしっかり身を守れます。

そして、この体温調整に加えて、ラクダの毛は極寒に耐えれる高い保温性があることでも知られています。
暑さにも寒さにも強い身体の構造をラクダは身に付けているのですね。
この毛皮のおかげで、砂漠地帯の急激な冷え込みにも耐えることができるのです。
冬の砂漠で雪が降っても、ラクダは毛布なしで寝られるほど耐寒性があります!
一見暑さ対策だけに見えるコブや被毛も、実は寒さにも対応できる万能な装備です。
ラクダは血液に水分を蓄えられる
人間の場合、体重の約10%の水分を失うと生命に危険が及びますが、ラクダはなんと体重の40%の水分が失われても生き延びることができます。これは哺乳類の中でも異常ともいえるレベルです。
そして、水を飲むときは一度に大量の水を摂取でき、一度で最大136リットルもの水を飲むことも可能です。飲んだ水はすぐに血液中に吸収され、水分をたっぷり含んだ血液が全身をめぐる仕組みになっています。

ラクダの赤血球は水を吸収して2倍に膨れても破裂しません!
他の哺乳類では、水分が血中に急激に入りすぎると、赤血球が水を吸って膨らみ、最悪の場合、破裂してしまいます。しかし、ラクダの赤血球はしなやかで破れにくく、水を含んでも正常に機能します。
ラクダの赤血球って強いですね!
また、脱水状態では血液がドロドロになるのが普通ですが、ラクダの血液は水分が減っても濃くならず、さらさらと循環し続けます。
このように、ラクダは「水をためる」のではなく、「水を無駄にしない」仕組みが全身に備わっているのです。砂漠で10日以上水なしで生きられるのも納得ですね。
生き物にとって、どれほど水が大切か改めて感じるとともに、ラクダの体のしくみにも驚くばかりです。
ラクダのコブには何がある!?
ラクダの特徴といえば、コブ。

あのコブには脂肪が詰まっています。コブ1つで最大36キロもの脂肪を蓄えることができるそうです。
この大量の脂肪のおかげで、数日~数カ月、ラクダは何も食べなくても生きていけます。
脂肪が分解されるとき、水分が副産物として体内に発生するため、飲み水がなくても数日間生き延びられるのです。
コブの中の脂肪1gを燃焼すると、約1.1gの水が体内で生成されます!
また、この脂肪は食料が少ない時期にもエネルギー源になり、飢えにも乾きにも強い仕組みなのです。
ここまでラクダの驚くべき体の仕組みをご紹介してきましたが、実は求愛行動も一風変わっているんです。
その様子を収めた動画をご用意しましたので、ぜひご覧ください。
まとめ
今回はラクダの身体の仕組みについてご紹介しました。
過酷な砂漠で生きていくための身体へと進化したラクダ。
こういう情報を知ってからラクダを見ると、また見え方が変わってきますね。