なぜネコ科?ライオンやトラなどの大型肉食動物にネコ科が多い訳
2023.12.29
目次
野生の肉食動物と聞けば多くの方が「ライオン」「トラ」などをまずは思い浮かべるでしょう。
そう、ほとんどの方が肉食動物と言えばネコ科の大型肉食動物を。
大型の肉食動物と言えば、ネコ科以外にも「クマ」「オオカミ」「ワニ」など、陸上動物だけでもたくさんいます。しかし、全体の割合で見ても、ネコ科の肉食動物は多い。そのため、肉食動物と言えばネコ科の動物!というイメージが強い。
ここで疑問が。「なぜネコ科?」今回はその点を見ていきます。
ネコ科が多いのには祖先に関係がある?
そもそもネコは飼いネコの特徴や食べ物でもわかるとおり、肉食動物です。
これは古くからそうでした。
ネコ科の祖先は遥か昔「ミアキス」という小型捕食動物でした。
ミアキスは、約6500万年前に現れた「食肉目」の祖先であり、ネコやイヌの祖先にも近いとされる動物です。
ミアキスはもともと森に住んでいたが、草原に進出していった個体がイヌの仲間となり、森で進化した個体がネコの仲間となったと言われています。
ミアキスは実は現代に生きる多くの肉食動物の祖先とも言われ、前述のとおり草原に進出した個体はイヌの仲間に進化していき、さらにクマやアシカやイタチにも進化していったと言われています。
この時点ではミアキスがネコだったわけでも無いので、ネコ科が多い理由にはなっていませんね!
ネコ目と食肉目の違い
実は動物の分類には「科」の上に「目」という属性があります。
例えばライオンでいけば、ネコ目ネコ科ヒョウ属。
この「ネコ目」というのに注目です。
実は、ネコ目というのは日本で作られたもので、世界的には「食肉目」が正しいのです。
ただ食肉目ではわかりにくいということで、1988年に文部省が作った「学術用語集動物学編」で食肉目=ネコ目と定めました。
※参考:動物分類学会誌
つまり、多くの肉食動物が実は「ネコ目」として表現されている場合もあります。
例えば、ネコ目クマ科みたいに。
この辺りの影響で肉食動物=ネコという印象が強くなったのかもしれません。
なぜ大型肉食動物はネコ科が多いのか?
ここまでご紹介した内容では、ネコ目が多い理由はわかりましたが、ネコ科が多い理由はわかっていません。これに関してはいろいろ調査してもなかなか明確な答えに辿り着くことはできませんでした。
ただ、大型肉食動物にネコ科が多い理由には恐らく進化の過程が関係しているのでしょう。
ご紹介したミアキスで森に進出した個体は進化をとげて、現代のライオンやトラはもちろん、ヤマネコやイエネコへと形を変えていきました。
元々が森に住んでいた分、ネコ科のほとんどの生き物が木登りが得意だったり、密集地や狭いところの移動も得意の場合が多いです。
ネコ科の個体は、ライオンやチーターのように時代を経て草原に出ていく種もあれば、トラやヒョウのようにジャングルでそのまま生きてきた種もあります。
それぞれの個体がそれぞれの環境でまた適応して進化していく。
家庭のネコを見ても、ネコという動物は警戒心は強いが結構適応能力が高い部分もあります。
この辺りが多くのネコ科の動物が現代に生きている理由ではと私は考えます。
つまり、イヌ科やクマ科の肉食動物よりネコ科の肉食動物が多いのは、単純に進化の過程でネコ科の動物が生存競争に勝ってきた。ということでしょう。
なぜネコ科なの?
なぜネコ科なのでしょう。別にライオン科やトラ科でも良い気がします。
これは単純に人々の身近な動物がネコだったからというのが有力な情報です。
身近な動物を科の名前にしておいた方が覚えやすいなどの理由からかなと思います。
まとめ
今回は「なぜネコ科」というテーマでご紹介しました。
ネコ科という科の由来は「ネコが身近な生き物だから」で、大型肉食動物にネコ科が多いのは「進化の過程でネコ科の動物が生存競争に勝ってきた」からが理由のようです。
ネコ科の動物の多くは群れを作りません。
個体で生きていく分、狩りの力・生きる力が他の肉食動物よりも優れているのかもしれませんね!