アリの生態系の役割とは。小さくてもとても重要な存在だった?
2025.7.23
目次
身近にいるアリ。ときには家の中に入り込んで迷惑がられることもありますが、実は私たちの想像以上に自然界では欠かせない存在なのです。
今回はアリの生態系における役割に注目してご紹介していきます。
日本全国どこでも夏になると見られるアリ。
彼らは生態系において、どれくらい重要な存在なのでしょうか。
アリは環境をキレイに保ってくれる!
私がアリの生態系における重要な存在としてまず思いつくのが、環境を守るということ。
ふと思ったことはありませんか?
夏になると現れる大量の昆虫たち。
彼らは夏が活動時期のことが多く、多種多様な昆虫たちがそこら辺にたくさん見られます。
その中でも、特にセミやゴキブリなどは、群を抜いて大量に現れる印象が強いです。
例えばこの大量の昆虫たちが死ぬとどうなるのか?
死体をあちらこちらで見ることは多いですが、夏の終わり頃になると死体が減っていますよね。
これは、アリがその死体を食べているからです。

さらに、人間や他の動物たちの食べ残し。
これも道端のいたるところにありますが、これらもアリの食べ物として処理されています。
つまり、アリがいないと多くの生き物の死体があふれたり、食べ残しといったゴミが散乱し続けることになる。
だから、アリが環境を守っているのです。
アリの掃除活動は、病原菌の拡散を防ぐ役割も果たしています。
アリがもたらす生態系への4つの影響
1、アリは害虫を減らして農作物を守っている!
アリは自分より大きな獲物にも立ち向かう、昆虫界のハンター。
畑や果樹園では、アブラムシや芋虫の卵を見つけて持ち帰ったり、巣ごと壊すこともあります。
その結果、農作物に被害を与える害虫の数を自然にコントロールすることができるのです。

アリの存在によって農作業にこれだけの恩恵を与えていることがあるのです。
一部の農家では、意図的にアリの生息地を保護して農薬の使用を減らす試みも行われています。
2、アリは植物の繁殖もサポートしている!
アリは甘い匂いがする種子を好み、巣へと持ち帰ります。
食べ終えた種子はそのまま土中や巣の外に捨てられ、そこから新しい植物が育つことも。
この仕組みによって、植物は広い範囲に分布し、生物多様性が保たれているのです。
この現象は世界中の森で確認されています。
3、アリの巣が土壌を健康に保っている!

アリは地中にトンネルを掘りながら巣を作ります。
このトンネルは、空気や水が土に浸透するのを助け、土中の微生物の活動を活発にします。
また、巣に運ばれた有機物やアリの排泄物が分解され、栄養豊富な土となって植物の成長を促進します。
アリの巣は天然の堆肥工場とも言える存在なのです。
4、アリ自身も他の生き物の命を支えている!
カマキリやクモなどの昆虫から、アリクイや鳥類などの動物にとっても、アリは重要なエネルギー源です。
アリの数が減ると、それを主食とする動物たちも生きていけなくなります。
つまり、アリがいることで多くの命がつながっているのです。
アリクイなど一部の動物は、アリが主食。アリがいなければ絶滅のリスクすらあるのです。

アリの社会性は、AIやロボット工学のヒントにも!
アリは集団で「巣作り係」「食料運搬係」「育児係」などの役割を分担し、情報をフェロモンで伝え合って行動します。この仕組みは「スウォーム・インテリジェンス」と呼ばれ、AIやドローン、ロボット工学の分野でも注目されています。
アリの行動をモデルにした「アントアルゴリズム」は、最適ルートを見つける技術として物流業界などに応用されています。
実際にその高度な行動を映像で見たい方はこちらの動画がおすすめです。アリの行動や社会性、生態系への影響をリアルに映し出しています。
引用元:Yale SCHOOL OF THE ENVIRONMENT
引用元:INSECT LORE
まとめ
今回はアリが生態系に与える影響について見ていきました。
身近な小さい昆虫のアリですが、実は多くの動物・植物の繁栄に必要な存在となっています。
人間にとっても重要な存在であるアリ。
少しはアリについての見え方も変わりましたか?