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すずめの生息数が激減?見かけなくなった理由を徹底解説

2025.6.27

目次

最近、すずめを見ることがめっきり減ったように感じませんでしょうか?私が子どものころは、自宅の近くや公園など多くの場所ですずめを見た記憶があります。

しかし、最近散歩しているときに、ふとすずめを見なくなったな…と感じました。実際にすずめの数は減少しているのでしょうか?

本記事では、すずめの生息数が本当に減少しているのか、減少しているとすれば原因は何かについて、詳しく紹介します。

「すずめ」ってどんな鳥?日本一身近な野鳥の素顔

画像引用元:写真AC
すずめとは、どんな鳥ですか?
都市部を含めて、北海道から沖縄まで全国に分布する小型の鳥です。

すずめの基本情報は、下表のとおりです。

全長14~15cm
渡り区分留鳥
生息地市街・住宅地/河川・湖沼/農耕地/草地
特徴日本全国で普通に見られる鳥。人間の生活に密着した鳥であるため、都市部を含めてどこでも見かける。人間にとって最も身近な鳥といわれている。

この記事を読んでいる方で、すずめを見たことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか。人間の住んでいるところを主な生息地としていることから、日本全国どこででも普通に見られる鳥であるためです。

平安時代の文学作品でもある「源氏物語」にも、すずめが登場していることから、長い年月にわたって人間に親しまれている鳥といえるでしょう。

都市生活に溶け込む鳥・すずめの意外な生態

画像引用元:写真AC
すずめは、どんな特徴を持つ鳥ですか?
ホッピングや水浴び・砂浴びをする点が特徴と言われています。

すずめの特徴となっている生態としては、「ホッピング」「水浴び・砂浴び」があります。すずめが地上を歩く場合には、左右の足をそろえてとびはねます。このことを「ホッピング」と呼びます。「ホッピング」をする代表的な鳥が、すずめです。

鳥の歩き方には、「ホッピング」の他にも「ウォーキング」があります。「ウォーキング」とは、左右の足をかわるがわる出して歩く歩き方です。「ウォーキング」をする鳥として、よく目にするのがハトです。

もう一つのすずめの特徴は、「水浴び・砂浴び」です。一般的に鳥は羽根についた寄生虫などを落とすために、「水浴び」「砂浴び」のどちらかを行う習性があります。すずめは、「水浴び」「砂浴び」の両方を行う珍しい鳥です。

すずめの生息数の減少

画像引用元:写真AC
すずめは、本当に生息数が減っているんですか?
はい。調査結果によると大幅に減ってきていることがわかります。

冒頭でも触れたように、最近はすずめを見る回数が減ってきているようです。実際にずずめの生息数は減少しているのでしょうか?

環境省では、国内の鳥類の生息数について、定期的に調査を行っています。直近では、NGOが中心となり、環境省生物多様性センターも加わった「鳥類繁殖分布調査会」を組織して2016-2021年(2021年は補足調査を実施)に調査を実施しました。 

調査方法は、全国に設置した2,344地点での現地調査およびアンケート調査によって行われました。

調査結果によると、総個体数は前回の調査(1997-2002年)では、すずめは31,159羽でしたが、今回の調査では20,627羽となっており、1万羽以上の減少となっています。

この調査の結果から、すずめの数は実際に大きく減少していることがわかりました。

参考:『全国鳥類繁殖分布調査報告2016‐2021年』

https://bird-atlas.jp/news/bbs2016-21.pdf

身近な鳥・すずめが減っている?最新調査で見えた現実

画像引用元:写真AC
すずめの生息数が減少した要因は何ですか?
明確な要因は不明ですが、環境の変化により営巣地が減ったり、エサが減ったためと言われています。

このように、近年すずめの生息数は大幅に減少しています。減少した明確な要因は不明ですが、以下の4点がその原因ではないかといわれています。

・都市化による営巣地の減少

・農薬の使用によるエサとなる昆虫の減少

・気候変動と環境変化

・田畑の減少

都市化による営巣地の減少

従来、すずめは人家の軒下や瓦の隙間に巣を作り、繁殖していました。昔は木造の家屋が多かったため、営巣地として良い環境が多くありました。

しかし、都市化や再開発が進むことによって、従来の木造家屋は減り、高層マンションや屋根に瓦を使わない家屋が増えてきました。

そのため、すずめが安心して子育てできる環境が少なくなり、その結果生息数が減ったといわれています。

農薬の使用によるエサとなる昆虫の減少

すずめの食性は雑食性です。穀物や木の実・虫など、自分より小さいものであれば好き嫌い無く何でも食べます。農作物の栽培に農薬を使うようになり、中でも好んで食べていた昆虫の数が減少してきました。

そのため、エサ不足を招き、すずめの生息数が減少したという説があります。

気候変動と環境変化

地球温暖化の影響により、気温上昇や季節の変動が従来より激しくなってきたため、昆虫の発生時期も変わってきたといわれています。

すずめの子育て期は6~8月であり、この時期には多くのエサが必要となります。しかし、昆虫の発生時期がすずめの子育て期と違うようになり、子育て期のエサが不安定となり、生息数が減少したといわれています。

田畑の減少

日本では、年々農業人口が減少しており、今まで農作物を栽培していた田畑が、耕作放棄地になりつつあります。

田や畑が少なくなることにより、すずめのエサとなる米などの穀物や、田畑に生息している昆虫が減少しつつあります。

そのため、エサ不足となってしまい、すずめの生息数が減少してしまった一因ともいわれています。

まとめ

本記事では、すずめの生息数が本当に減少しているのか、減少した理由を中心に解説してきました。

大規模な調査結果からも、すずめの生息数がかなり減少していることがわかりました。今までは身近な鳥であった「すずめ」。

これ以上、生息数が減らないように、手立てを考える必要があるのではないでしょうか。

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