エゾシカとニホンジカの違いとは?北海道のシカが大きい理由
2026.8.27
目次
「エゾシカとニホンジカって、何が違うんだろう?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?!
北海道の道路脇でよく見かけるあの大きなシカ。本州で見るシカとは、ずいぶん体つきが違って見えます。今回はエゾシカとニホンジカの関係と、北海道のシカだけが大きくなる理由について見ていこうと思います。
エゾシカとニホンジカは「別の動物」ではありません
ウシ目シカ科シカ属(ニホンジカの亜種)
頭から胴の長さ 140〜190cm
体重 オス130〜150kg/メス約80kg
北海道に分布
角が生えるのはオスだけ
3Dモデルで見てみる
文章と写真だけでは伝わりにくい体つきを確かめられるように、この記事のためにエゾシカの3Dモデルを作りました。ドラッグで回すと、横からも後ろからも見られます。胴の厚みと脚の長さは、正面からの写真では分かりにくいところです。
まず一番大事なところから書きます。エゾシカは、ニホンジカの亜種のひとつです。
つまり「エゾシカ 対 ニホンジカ」という比べ方は、正確ではありません。ニホンジカという大きなくくりの中に、地域ごとの亜種があって、その北海道版がエゾシカ、ということです。
国内には他にも、本州のホンシュウジカ、九州のキュウシュウジカ、屋久島のヤクシカなどの亜種が知られています。
亜種によって大きさがまるで違う
同じニホンジカなのに、亜種によって体の大きさがかなり変わります。
一番大きいのがエゾシカ、一番小さいのがヤクシカです。 北にいくほど大きく、南にいくほど小さくなる、というきれいな並びになっています。
エゾシカのオスは体重130〜150kgほどになりますが、本州のシカは、それよりずっと小柄です。同じ種類だと言われても、並べて見ると別の動物のように感じるかもしれません。
北海道のシカだけが大きい理由
では、なぜ北海道のシカだけが大きく育つのでしょうか。
寒い場所ほど体が大きくなる
これには「ベルクマンの法則」と呼ばれる考え方があります。同じ仲間の動物では、寒い地域にすむものほど体が大きくなりやすい という傾向のことです。
体が大きくなると、体積のわりに表面積が小さくなります。表面積が小さいということは、それだけ熱が逃げにくいということです。
小さな体は表面から熱がどんどん逃げてしまいますが、大きな体なら中心の熱を保ちやすい。北海道の冬を越すには、大きい体のほうが有利だったということですね。
冬をどう越すかが体をつくった
北海道の冬は雪が深く、食べ物が見つかりにくくなります。秋のうちにたくさん食べて脂肪をたくわえ、その体で冬を耐える。この繰り返しが、大きな体につながっていったと考えられています。
一度は絶滅寸前だったエゾシカ
今でこそ北海道のあちこちで見かけるエゾシカですが、実は明治時代に絶滅寸前まで追い込まれたことがあります。
毛皮や肉を目当てにした大量の捕獲と、記録的な豪雪が重なりました。食べ物がなくなったところに捕獲が続いたことで、一気に数を減らしたのです。
今度は増えすぎが問題に
その後、保護が進んだことでエゾシカの数は回復していきます。そして現在は、逆の問題が起きています。
北海道の推定生息数は、2023年度で約73万頭とされています。3年連続で増え続けている状況です。
出典:北海道庁 環境生活部自然環境局「エゾシカ推定生息数」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/suiteiseisokusuu.html
数が増えると、農作物が食べられる、若い木の皮がはがされて森が育たない、道路に飛び出して車とぶつかる、といった問題が出てきます。2024年度の捕獲数は15.7万頭で、こちらも3年連続で過去最多を更新しました。
守るために減らさないようにしていた動物を、今度は減らす方向で管理する。同じ動物に対して、時代によって正反対のことをしているわけです。
増えたシカをどうするか
数が増えすぎたエゾシカへの向き合い方として、捕獲した個体を食べ物として活かすという取り組みが進められています。
エゾシカ肉はジビエとして扱われ、赤身が多く脂肪が少ないのが特徴です。北海道では加工施設が整備され、飲食店や加工品として流通しています。
捕獲して埋めるだけでは、命が何にもなりません。食べ物として使うことで、駆除が「もったいない話」で終わらなくなります。
増えすぎた動物とどうつき合うかという問題に、はっきりした正解はありません。ただ、少なくとも無駄にしない方法を探すという方向は、多くの人が納得しやすいところだと思います。
オスの角は毎年生え変わる
エゾシカを見分けるときに目立つのが、オスの立派な角です。
この角は毎年生え変わりますです。春になると根元から自然に落ちて、そこからまた新しい角が伸びてきます。
伸びている間の角は「袋角(ふくろづの)」と呼ばれ、やわらかい皮に覆われています。秋にかけて硬くなり、繁殖の季節に完成します。
つまり、同じオスでも季節によって見た目がかなり変わるということです。角のないオスを見て「メスかな」と思ったら、実は角が落ちた直後だった、ということもあります。
まとめ
今回はエゾシカとニホンジカの違いについてご紹介しました。
エゾシカは別の種類ではなく、ニホンジカの亜種のひとつ。そして北海道の寒さに合わせて、亜種の中で一番大きな体になりました。
一度は絶滅寸前まで減り、今は増えすぎが問題になっている。数の話だけを見ても、人との関わりが濃い動物です。
北海道でシカを見かけたら、その体の大きさに注目してみてください。あの体つきそのものが、北海道の冬を生き抜いてきた証拠です。
日本にはシカの仲間として、ニホンカモシカもいます。こちらは特別天然記念物です。あわせて天然記念物と特別天然記念物の違いもご覧ください。
また、日本国内で数を減らしている動物については日本の絶滅危惧種の動物一覧でまとめています。
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