天変地異の前兆?竹の花の不吉な言い伝えとは
佐久間
目次
日本人にとって身近な植物である「竹」は、稀に花を咲かせることがあります。ここ3~4年ほどの間でも、竹の開花情報がメディアで取り上げられることがたびたびありました(2022年8月時点)。本記事では、竹の花にまつわる言い伝えを紹介します。竹の種類と生態もあわせて解説するので、ぜひ読んでみてください。
トップ画像:photoAC
咲くと不吉な出来事が起こるという竹の花

昔の人々は、竹の花が咲くことは「不吉な出来事が起こる前兆」だと考えました。地震が起きる、地盤が崩れるなど、自然災害と結びつけられることが多かったようです。ただし、誰もが納得するデータはないため、因果関係の証明は難しいとされます。
竹の花の特徴
イネ科の仲間である竹は、稲穂に似た花を咲かせます(※すぐ上の写真やトップ画像を見てください)。「花」と聞いて多くの人が想像するであろう、色鮮やかな花々とは一線を画しているのが特徴です。
竹の花に不吉な言い伝えがある理由

竹の花に不吉な言い伝えがある理由として、以下の2つが挙げられます。
開花周期が60~120年と、めったに咲かないから
めったに開花しないことから「竹の花はよく分からない、不気味なもの」という認識が生まれ、不吉な言い伝えにつながった可能性があります。種類にもよりますが、竹の開花周期は60~120年と長め。花を見る機会がほとんどないため、開花を異変だと捉える人がいても不思議ではありません。
一斉に開花した後で竹林全体が枯死するから
一斉に開花した後で竹林全体が枯死する様子も、不吉な言い伝えの根拠になったと考えられます。普段は繁殖力が強く成長も早い竹が、開花するやいなや全部枯れてしまう…という光景は、人によっては恐怖を感じるものでしょう。「開花病」「十年枯病」といった呼び方もされました。
竹の種類と生態

種類や生態など、竹の基本情報も見ていきましょう。
竹の種類は1400種以上
竹はイネ科タケ亜科に分類される多年生植物で、世界には1400を超える種が存在するとされます。そのうち、日本に生育するのは130種類ほど。有用種の中でも主だったものは、マダケ(真竹・苦竹)、モウソウチク(孟宗竹)、ハチク(淡竹・甘竹)の3つです。
地中で横に伸びる「地下茎」から新しい竹が生える
竹は通常、地下茎の節の芽からタケノコを生み、半年ほどで若竹へと成長させます。地下茎自体も生命力が強く、1年で5~8m横に伸びた記録もあるようです。
出典
なお、竹林の竹の一本一本は、地下茎を通してつながっているクローンです。竹林全体を「一つの大きな生命体」と考えれば、一斉に開花・枯死するのもうなずけます。
親しみやすく、神秘的でもある竹

めったに見られない竹の花は、未だ謎に包まれた存在です。不吉な言い伝えも今のところ科学的根拠はなく、「俗信」に留まっています。
カゴや花器、武道具など、普段意識するまでもなく日本人の生活・文化に溶け込んでいる竹。親しみやすい植物でありながら、花にまつわる言い伝えのようにミステリアスな一面を兼ね備えているのも、竹の魅力かもしれません。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます! このたび「竹の花」をテーマにしたのは、執筆の数日前、マダケでできた尺八を購入したからでした。良い音が出せるよう練習するだけでなく、竹の命の神秘性にも意識を向けて楽器を手に取りたいと思います。
なお、本ブログには他にも花を扱った記事があるので、ぜひ読んでみてください。