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カラス

日本や世界のカラスの存在について、神話に焦点を当ててご紹介

2025.2.15

目次

今回は、日本や世界の「カラス」について、神話や伝説に焦点を当ててご紹介します。

カラスは、人々からは好ましくない存在として知られていますが、実は古代から様々な神話や信仰に登場する重要な役割を持った存在でもあります。

一体どのような神話が残っているのでしょうか?

チアセブンアーチ編集部からのコメント

Youtubeで当記事の要約ショート動画が見れます!
動画引用元:Youtube チアセブンアーチ

カラスってどんな動物!?

今回はカラスの神話についてのご紹介ですが、一応カラスについて説明します。

カラスについて

スズメ目カラス科カラス属

雑食

知能が高い

全身黒色

皆さんもよくご存知のカラスは、スズメ目カラス科カラス属です。

日本でよく見かけるカラスは、「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」という2種類になります。

また、カラスと言えば知能が高い事でも有名です。

カラスの賢さがお分かりになる動画をご用意しましたので、ぜひご覧くださいませ。

動画引用元:BBC ideas

そしてカラスは雑食なので、生ゴミから動物の死骸まで幅広く食べます。

その賢さから、ゴミ置き場を荒らすカラスVS人間で、時々話題になる事がありますね。

そんなカラスですが、意外な一面もあり、世界中の神話に登場する不思議な鳥でもあるのです。時には神の使いとして崇められ、時には不吉の象徴とされるなどなど・・

そして、カラスの最大の特徴は全身が黒色ということですね!!しかし昔は白色だったという神話があるのです。

カラスの色が黒い理由の神話

カラスが黒くなった理由は、いくつか神話があります。

まずギリシャ神話では、カラスが太陽神であるアポロンに「恋人が、別の男性と結婚した」と予言をしたことにアポロンが怒り、カラスの羽を焼き黒色にしたとされています。

また、イスラムの伝説では預言者ムハンマドをカラスが裏切り、居場所を言ってしまったことから「カーカー」としか鳴けなくなるようにさせ、黒色に変えさせられたそうです。

引用元:CORVID RESEARCH

カラス
画像引用元:pixabay

日本神話におけるカラス

カラスは、日本神話においても非常に重要な存在でした。

そして、カラスは日本の国の成り立ちにも大きく貢献したと言われています。

このように、カラスは日本の伝承や信仰において欠かせない存在でもありました。

八咫烏 〜導きのカラス〜

日本の神話で最も有名なカラスといえば3本足の「八咫烏」。八咫烏は、神武天皇の東征の際に高皇産霊尊から神武天皇のもとに遣わされ、導きの神として活躍しました

『日本書紀』によると、八咫烏は天照大神が遣わした鳥とし、太陽の化身ともされています。

八咫烏は三本の足を持つことで知られていますが、この三本の足には「天・地・人」を表すと考えられています。

現在では、勝利へと導く存在として、日本サッカー協会のエンブレムにもなっていますね。

カラス
画像引用元:pixabay

このように、日本のカラス信仰の中でも重要な役割を果たしており、古代日本ではカラスが神聖な存在として崇拝されていたことがお分かりいただけたかと思います。

八咫烏という名前自体は、中国神話に登場する三本の足のカラス「三足烏(さんそくう)」が朝鮮半島を経て、日本に伝わったことに由来しています。

カラスが日本神話や文化の中で最も神聖な生き物の一つとされる理由は、八咫烏の存在によってより深く成り立っているのではと思われます。

鴉天狗 〜修験道との関係〜

もう一つ、日本で重要なカラスと言えば「鴉天狗(からすてんぐ)」になります。

天狗と言えば、山岳信仰に関連する妖怪・神霊と言われていますが、鴉天狗は特に修験道との関わりが深いようです。

鴉天狗は山伏(やまぶし)たちに試練を与えたり、時には手助けしたりする存在とされています。

京都の鞍馬山では、鴉天狗が源義経(牛若丸)に剣術を教えたとも言われているのだそうです。

カラス
画像引用元:pixabay

世界の神話におけるカラス

世界に目を向けてみても、カラスの存在は人々の信仰や文化に影響を与えていました。

世界各地の神話には、カラスが登場するものが多く存在します。

中国神話 〜三足烏(さんそくう)〜

中国の神話には、日本の八咫烏と似ている「三足烏(さんそくう)」が登場します。

三足烏は太陽に住むカラスで、太陽そのものを運ぶ存在とされています。

『山海経』などの古代の書物にも記述されており、三足烏と太陽が深く結びついた神聖な存在として信仰されていたそうです。

また、中国ではカラスは、親を大切にする鳥としても見られており「親孝行」の象徴ともされています。

ケルト神話 〜戦いの女神モリガン〜

ケルト神話では、戦争と死の女神「モリガン」がカラスと深い関係を持っていたそうです。

モリガンは戦場にカラスの姿で現れ、戦士たちの生死を見定めていたそうです。戦闘後、カラス(モリガン)は戦死者のところに行き生死を見定めていたため、カラスは亡骸に群がるとされ、死の象徴ともりました。

このため、ケルトの神話ではカラスは不吉な存在とされていました。しかしその一方で、戦いを司る神聖な存在としても畏怖されていました。

カラス
画像引用元:pixabay

これらの神話は、カラスが持つ知恵や神秘性、そして死との関連性を表現しています。

一方で、カラスは狩猟や戦争、毒物の象徴としても扱われ、様々な意味合いが込められています。

このように世界の神話においても、カラスは重要な役割を持っているのです。

古代日本でカラス信仰が盛んだった理由

古代日本では、八咫烏が神武天皇を導いたことからカラスは、予知能力を持っているとされ、皇族や貴族の間でも特に信仰されるようになりました。

さらに、カラスは悪霊を追い払い清めの鳥とされ、吉兆の象徴ともされ、農耕文化の日本において、群れをなして飛ぶ様子が豊作を予兆するとも信じられていました。

これらの事柄が古代日本におけるカラス信仰が盛んになった理由の一つであると考えられます。

渡来人が伝えたカラスの役割

日本にカラスが伝えられたのは、渡来人によるもの。特に朝鮮半島や中国からの影響がカラスが神聖な鳥として崇められるようになったと考えられます。

渡来人はカラスを「太陽のお使い」という扱いで日本に伝えました。

その役割は、日光を司る梵天(ぼんてん)の使者とされることが多かったとされています。

渡来人が持ち込んだ文化とともに、カラスの存在が日本文化に大きく影響を与えたことが分かりますね。

このように、渡来人がカラスを伝えることで、日本におけるカラス信仰や文化が発展するきっかけとなったのです。

梵天(ぼんてん)とは、仏教において最高位の守護神のこと

まとめ

今回はカラスについて、日本や世界の神話に焦点を当ててご紹介しました。

身近にいる鳥で、ゴミを漁るイメージから悪い鳥・汚い鳥という印象を持つ方もいるかと思います。

しかし、カラスは古来より神聖な鳥という存在でもある。

普段何気なく見るカラスでも、視点を変えれば、出会えたことが幸運になるかもしれませんね。

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