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アゲハチョウとピンクの花

蝶の中では最も有名!?アゲハチョウの一生とは。ナミアゲハ編

2024.6.4

目次

今回はアゲハチョウというチョウについて、アゲハチョウの一生を通してご紹介します。

日本ではほとんどの方が目にした事や、名前を聞いた事があるのでは?と思うくらい有名なチョウですね。

今回はアゲハチョウの中の「ナミアゲハ」についてのご紹介です。

ナミアゲハについて

アゲハチョウとは昆虫綱(こんちゅうこう)鱗翅目(りんしもく)アゲハチョウ科の総称です。

その1種であるナミアゲハは、日本で最も馴染みのあるアゲハチョウではないでしょうか。

春から秋にかけて、家の周りや公園など全国各地で見られる、あのアゲハチョウです。

アゲハチョウと花
画像引用元:photo AC

ナミアゲハは黄色メインの身体に黒い模様があるアゲハチョウですね。

主に3月~10月にかけて美しく舞っている成虫を見ることができます。

ナミアゲハの一生

ナミアゲハの一生を見ていきましょう!

アゲハチョウは、卵から完全変態して成虫になります。

完全変態と不完全変態について

完全変態 アゲハチョウやカブトムシなどの様に、幼虫から蛹(さなぎ)を経て成虫になること

不完全変態 トンボやセミの様に、蛹の期間がなく、終齢幼虫から成虫になること

アゲハチョウは羽化してから2〜3週間でオスと交尾し、卵を産みます。
卵の数は約200個ほど産むそうで、卵を産み終えるとメスのアゲハチョウは死んでいきます。

生き物の宿命ということでしょうか…

画像引用元:photo AC

1〜4齢幼虫

アゲハチョウが産んだ卵は1週間ほどすると、卵から孵化(ふか)して幼虫になります。
幼虫は3回の脱皮を繰り返して、1齢幼虫→2齢幼虫→3齢幼虫→4齢幼虫と成長していきます。

産まれたてのアゲハチョウは、美しいアゲハチョウとは程遠い黒い塊のこんな幼虫の姿です。
しかし、こんな姿で産まれてくるのには理由があるのです。

孵化(ふか)とは

卵から幼虫や子が出てくること

画像引用元:photo AC

アゲハチョウは成虫になってからも、鳥類を中心に天敵は多いとされています。
ということは、幼虫時代も同様に天敵が多いのです。しかも孵化したての頃はこんなにも小さな体なので、天敵に狙われやすいですね。

その為、この幼虫の頃の色を鳥の糞の様に擬態させ、身を守っているとも言われています。

確かに、黒に白のラインが入っているところは、鳥の糞に似ているので草むらなどに紛れていると、アゲハチョウの幼虫だなんて気づかれないかもしれませんね。

5齢幼虫(終齢幼虫)

続いてはこちらの形に姿を変えます。

4回の脱皮を繰り返し、5齢幼虫(終齢幼虫)となった姿が最後の幼虫の姿です。
今までとは全く違う、鮮やかな緑色した可愛らしい姿になります。

アゲハチョウ終齢幼虫
画像引用元:photo AC

この姿はお馴染みで、小さい頃に昆虫に夢中なった方は、一度は見つけたはず!頭にある2つの黒い点が、目玉の様に見えてとても愛くるしい顔立ちに見えるんですよね!
(ちなみに幼虫の目玉は目立ちにくいですが、もう少し下のところにあります。)

5齢幼虫(終齢幼虫)になると、今までとはくらべものにならないくらいの量の葉っぱを食べます。小さな枝の葉でしたら、一日で食べ尽くしてしまうくらい食欲旺盛です。その為、1週間で体の長さが2倍くらいの大きさになります。

そして、たくさん食べてたくさん動いていた幼虫が、急に食べなくなり、動かなくなります。次の形態への準備です。
しばらく葉の上でとまって、下痢の様なフンを出します。これが蛹になる合図と言われています。その後さかんに動き回り、蛹になる最適な場所を探し始めます。場所が決まると数時間で、落ちないように支えるために糸を吐きます。そして、だんだんと小さく体が縮んでいきます。

画像引用元:photo AC

見た目も蛹に近い形になっていきます。

蛹になるために、体の中をドロドロにとかし、成虫へと体をつくり変えます。
この状態を前蛹(ぜんよう)と言うそうです。

小学生で初めて前蛹を習った時はとても衝撃的でした!ドロドロにとかして体をつくり変えるって、動物では考えられないですよね!

蛹(サナギ)

そして、蛹化(ようか)してこのような蛹の姿になります。

蛹化(ようか)とは

終齢幼虫が脱皮して蛹になること

画像引用元:photo AC

幼虫の頃の面影は体の色くらいでしょうか。
緑色の葉をつける植物の上で蛹になることで、葉っぱに擬態することができます。
狙われたら最も終わりの蛹の状態こそ、擬態の能力がフル活用されていますね!

蛹の色について

アゲハチョウの蛹は緑色・茶色・オレンジ色になるものがあります。
蛹になる時期や昼間の光の量など様々な要因で色が変わるそうです。

美しい成虫へ

画像引用元:photo AC

少しずつ蛹の色が緑色から透き通り、中が見えてくるようになります。
羽の模様がくっきり見えてきたら、もうすぐで羽化(うか)します。

羽化(うか)とは

蛹から成虫が出てくること

アゲハチョウ羽化
画像引用元:photo AC

ここからは蛹の殻を破り、立派な羽を持った成虫が出てきます。
体の中の不要な水分を出し、しばらく羽を乾かします。
十分に乾いた後は元気よく飛び立っていきます!

そして、空を舞い行動範囲を広げて、また新たな場所で子孫を残す。

これがアゲハチョウ(ナミアゲハ)の一生です。

春型と夏型のアゲハチョウ

アゲハチョウ2匹
画像引用元:photo AC

アゲハチョウの一生をご紹介しましたが、アゲハチョウには冬を越した蛹から春のはじめに羽化した春型の成虫と、春型の子孫で秋までに何度が羽化する夏型の成虫がいます。
夏型の成虫は初夏〜秋までに、2〜4世代の夏型が羽化します。温暖な地域では、羽化する回数が多くなるそうです。
晩秋になり日が落ちるのが早く感じるようになると、アゲハチョウの蛹は成長をとめて冬を越すそうです。

茶色の蛹は、茶色の枯れ木がほとんどの冬を越すための擬態能力なのかもしれませんね!

春型と夏型のアゲハチョウの違い

春型は色が明るく、羽が小さいのが特徴です。これは、越冬するためにたくさんのエネルギーを使ったり、体の熱をにげにくくする効果のためと言われています。

夏型は羽も大きく黒の面積が多く全体に色が濃いのが特徴です。これは、強い日差しへの対策と言われています。

まとめ

今回はナミアゲハの一生についてご紹介しました。

幼虫の頃の姿でさえ、見たことがある方も多いのでは。

特に、有名なモンスターを集める某ゲームソフトの初代のチョウ型のモンスターの進化前(幼虫とサナギ)の姿は、ほぼナミアゲハの幼虫とサナギだろう!って感じですからね。

身近なチョウだからこそいるのが当たり前になっていますが、近年の都市開発の影響などで、数十年前よりかは街中で見る機会は減ったようにも感じます。

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