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海洋プラスチックとウミガメ

海洋プラスチック汚染についての条約とは?日本と世界の取り組みを知ろう!

2023.11.21

目次

今回は海洋プラスチックの汚染についての条約にまとを絞って見ていきたいと思います。

海洋プラスチック汚染とは

海洋プラスチック汚染の定義

海洋プラスチック汚染とは、海洋環境においてプラスチックが大量に存在し、生態系や生物に悪影響を与える状態のことを指します。

プラスチックの廃棄物やごみが海洋に投棄されることによって、海洋生物がプラスチックを誤食したり、プラスチックごみによって生息地が破壊されたりする問題が生じます。

海洋プラスチック汚染の原因

海洋プラスチック汚染の主な原因は、人間の活動によるプラスチックの大量消費と適切な廃棄物処理の欠如です。

プラスチックの使用量が増え続けており、一部のプラスチック製品は長期間にわたって分解されないため、海洋環境に長期間存在し続けます。

また、海岸や河川からのプラスチック廃棄物の流入や、海上での海運業や船舶からのプラスチックの排出も海洋プラスチック汚染の要因となっています。

こちらの記事では、海洋プラスチック問題について「私たちにできること」をご紹介しています。

国際的な(世界の)取り組み

プラスチック廃棄物に関する国際的な条約

海洋プラスチック汚染の問題に対処するため、世界各国はさまざまな国際的な条約を締結しています。その中でも重要なのが、「バーゼル条約」と「ストックホルム条約」です。

「バーゼル条約」

特定の危険な廃棄物(プラスチックも含む)の移動と処理を規制するためのものです。この条約によって、国際的なプラスチック廃棄物の輸出入が管理され、不適切な処理や海洋への廃棄が防止されることを目指しています。

「ストックホルム条約」

有害な物質の製造や使用を制限することを目的としています。この条約は、特に海洋生物にとって有害なポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs)などの物質を規制しています。

日本も上記の条約に署名をしており、海洋プラスチック問題を解決する国際的な取り組みをする国の1つとして参加しています。

海洋プラスチック問題
画像引用元:Adobe Stock

国際海洋プラスチック汚染防止の取り組み

海洋プラスチック汚染を解決するため、世界的にさまざまな取り組みが行われています。

日本では、海洋プラスチックごみの発生源である陸地からの廃棄物流出抑制や、海洋プラスチックごみの回収・処理技術の開発などが進められています。

また、海外でも海洋プラスチック汚染対策の国際連携が行われており、各国が協力して問題解決に向けて取り組んでいます。

これらの取り組みは、海洋環境の保護と持続可能な未来のために非常に重要なものになっています。

プラスチック回収
画像引用元:Adobe Stock

日本の取り組み

日本の海洋プラスチック汚染対策の法律

日本では、海洋プラスチックごみの問題に対処するために、いくつかの法律が制定されています。

特に重要なのが「海洋汚染等防止法」です。

この法律では、海洋環境の保護やプラスチックごみの排出量削減に向けた規制や対策が定められています。

日本のリサイクルと廃棄物管理の取り組み

日本では、海洋プラスチックごみの発生源である陸地からの廃棄物流出を抑制するために、リサイクルや廃棄物管理の取り組みが行われています。

例えば、プラスチック製品のリサイクル率の向上や、プラスチックごみの適切な分別・処理の啓発が行われています。

さらに、日本の企業や研究機関は、海洋プラスチックごみの回収や処理技術の開発にも取り組んでいます。これらの取り組みは、海洋環境の保護と持続可能な未来のために非常に重要です。

日本は海洋プラスチック汚染問題に対して真剣に取り組んでおり、国内外の連携を通じて解決を目指しています。

海洋プラスチック汚染の影響

ここからは海洋プラスチックによる汚染によって、そこに住む生き物たちへの影響をご紹介します。

海洋生物への影響

海洋プラスチック汚染は、海洋生物に深刻な影響を与えています。

海洋生物はプラスチックごみを誤って食べることがあり、これによって窒息や内臓の損傷、栄養不足などの問題が発生します。

また、プラスチックの一部は摂食者から捕食者に移行し、食物連鎖においても問題を引き起こす可能性があります。

これにより、生態系のバランスが崩れ、海洋生物の個体数や種の多様性が減少するおそれがあります。

人間への健康への影響

海洋プラスチック汚染は、人間の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

プラスチックに含まれる有害物質が海洋環境に流出し、魚やその他の海産物に蓄積することで、私たちが摂取する食品の中にも入り込むおそれがあります。

実際に2022年時点で、ある人間の血液を調べると、細かいマイクロプラスチックが発見された例もあります。

参考:Discovery and quantification of plastic particle pollution in human blood(自動翻訳:人間の血液中のプラスチック粒子汚染の発見と定量化)

刺身
画像引用元:Pixabay

プラスチック削減のための取り組み

プラスチック使用量の削減策

海洋プラスチック汚染の問題を解決するために、プラスチック使用量を削減する取り組みが世界的に行われています。

この取り組みの一つとして、プラスチック製品の有料化やポリ袋の有料化などが挙げられます。

これにより、消費者はプラスチック製品の使用を減らす意識を高めることが期待されています。

プラスチック代替品の利用促進

また、プラスチック代替品の利用促進もプラスチック削減のための重要な取り組みです。

代替品としては、バイオプラスチックや再生可能エネルギーを使用した製品などがあります。

これらの代替品の普及により、従来のプラスチック製品の使用量を減らすことができます。

海洋プラスチック汚染の問題を解決するためには、プラスチック使用量の削減とプラスチック代替品の利用促進が重要です。

日本を含む世界各国が取り組みを進めており、持続可能な未来のためのプラスチック削減の取り組みが進んでいます。

これらの取り組みのさらなる拡大と国際的な協力が必要です。

紙ストロー
画像引用元:Pixabay

まとめ

今回は海洋プラスチック汚染に対する条約や、日本と世界の取り組みをご紹介しました。

日本国内でも、企業やNGOが協力して海洋でのプラスチックごみの回収やリサイクルを行うプログラムがあります。

これにより、海洋生物の保護や環境の保全に貢献しています。

今回の海洋プラスチック問題について興味を持っていただけたら、ぜひそういったプログラムへ参加してみてくださいね。

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