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pcb

2021.6.13

シャチを脅かすPCBとは?


目次

こんにちは、レベラ水口です。

どうでもいいことですが、実は水口はペンネームです。

さてさて前回の投稿では、「わたしが思うシャチの魅力」について書きましたが、今回はそんな可愛いシャチを脅かす、環境問題について紹介します!

シャチが絶滅の危機?

2018年9月28日に科学雑誌『サイエンス』に、ある論文(※1)が掲載されました。

ざっくりした内容は「世界のシャチが30~50年後に絶滅する」というものでした。

その原因とされているものがPCBです。

PCBとは

Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた、 主に油状の化学物質です。PCBの特徴として、水に溶けにくく、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

(環境省HPより)

PCBは慢性的に体内に蓄積し、人体に影響を及ぼすことがわかっています。

日本では1968年のカネミ油症事件でPCBによる被害が明らかになり、その後1970~1980年代にかけてPCBの使用は世界的に禁止されました。

そんなPCBがなぜ今になって、シャチの生態系に影響を及ぼしているのでしょうか?

理由はシャチが海の王者だからです。

海の王者に蓄積するPCB

前回のブログでも述べたとおり、シャチは肉食動物で、魚やペンギン、アシカ、イルカ、クジラなど、ありとあらゆる生物を捕食し、食物連鎖の頂点に君臨します。

そして実はPCBは分解速度が遅く、食物連鎖に組み込まれると言われています。

たとえば、PCBに汚染された魚がいたとすると、その魚を食べたペンギンもPCBに汚染され、そしてそのペンギンを食べたシャチもPCBの影響を受けるということです。

実際、動物の体内に残るPCB濃度について研究(※2)が発表されていますが、ヒトやイルカなどのほかの生物と比べ、シャチの体内にあるPCB濃度は非常に高いです。

さらに恐ろしいことに、PCBは食事を通してシャチの体内に蓄積されるだけでなく、母親から子どもに遺伝するとも言われています。実際、PCBの影響でシャチの繁殖能力が下がっているという研究結果も出ており、シャチの群れが消滅したり、個体数が減少しているという報告も数多くあります。

生き物が絶滅するということ

人間によって野生動物の生態系が侵されているという話は頻繁に話題になります。

このPCBの話で私がとくにショックだったのは、

30年ほど前にすでに製造・輸出入が禁止されているにも関わらず、今もPCBがシャチを苦しめていることでした。

「PCBが体に悪いと明らかになったからPCBの製造はやめる、それでOK~」とはならないわけです。

ずっと影響し続けるわけです。

一度汚してしまった海は、きれいにはならないし、特にシャチのように世界中の海を生息地としているような生物に与える影響は大きいです。

話は変わりますが、2年ほど前に「わけあって絶滅しました。」という本が話題になりましたよね。

読んでみると、もちろんおもしろいのですが、「こんな可愛い生き物ともう会えないんだな」と思うと、残念な気持ちになったことを覚えています。

日本にいると環境問題はどこか他人事に考えている人も多いのですが(わたしも偉そうなこと言えませんが)こうやって好きな動物と環境問題がセットになって語られると、一気に自分事に変えて考えられる気がします。

わたしが実際にそうで、

普段から環境問題について考えているわけでも、発信してるわけでもないのですが、

シャチの絶滅の話を聞いたり、ダイビングして海にプラスチックが流れているのを見たりすると、

「ああ、人間が海を汚しているんだな」とひしひしと感じます。

もっとシャチや動物好きな人が増えて、もっと地球の環境に興味を持つ人が増えたら、

日常生活やビジネスの場で何かを選択する際に、「環境にいいか、悪いか」を判断基準にする人が増えるんじゃないかなって思っています。

では今日はこのへんで。

また次回の更新でお会いしましょう~。

※1Jean-Pierre Desforges, et al., “Predicting global killer whale population collapse from PCB pollution.” Science, Vol.361, Issue6409, 1373-1376, 2018

※2高橋真、田辺信介「PCBによる地球環境汚染と今後の課題」『廃棄物資源循環学会誌』2017年,pp.99-111

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